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『二木立の医療経済・政策学関連ニューズレター(通巻115号)』(転載)

二木立

発行日2014年02月01日

出所を明示していただければ、御自由に引用・転送していただいて結構ですが、他の雑誌に発表済みの拙論全文を別の雑誌・新聞に転載することを希望される方は、事前に初出誌の編集部と私の許可を求めて下さい。無断引用・転載は固くお断りします。御笑読の上、率直な御感想・御質問・御意見、あるいは皆様がご存知の関連情報をお送りいただければ幸いです。


目次


おしらせ

『2010年代の医療・社会保障改革』を勁草書房から今春(4~5月に)出版します。

『TPPと医療の産業化』(勁草書房,2012年5月)後に発表した主な論文25本を収録します。下記の5章構成です。


1. 論文:韓国の医療産業化政策をめぐる論争を読む

(「深層を読む・真相を解く(29)」『日本医事新報』2014年1月11日号(4681号):13-14頁)

韓国の企画財政部・保健福祉部など8つの「部」(日本の「省」に相当)は2013年12月13日、パク・クネ大統領主催の第4次貿易投資振興会議で、合同文書「第4次投資活性化対策-サービス・雇用・自治体規制改革を中心に」(以下、合同文書)を発表しました。これに含まれる医療の産業化政策に対して、韓国では医療界中心に反対運動が起きています。

私は、以前から、日本と韓国の医療制度、特に民間主体の医療提供体制は国際的にみてもっとも類似しており、相互に学びあえると考えています。私の勤務先の日本福祉大学と韓国・延世大学は、2006年以来、毎年「日韓定期シンポジウム」を共催しており、常に医療の日韓比較を取り上げています。

しかし、日本では全国紙・専門誌とも、上記合同文書についてまったく報道していません。そこで、本稿では、合同文書の医療の産業化政策の概略を紹介し、簡単に解説します。なお、本稿は、私の韓国の友人研究者4人から得た情報とコメントに依拠しています。

合同文書中の医療の産業化政策の概要

パク政権は「有望産業育成」のため、2013年7月以来、「貿易投資振興会議」を開催しています。最初の3回の会議は、IT関連産業、観光、金融サービスを取り上げ、第4次会議で、医療、教育、ソフトウェア産業の3つを取り上げました。

このうち、医療の「重点推進課題」では、「医療分野の公共性を阻害しないようにしながら新しい市場と事業を創出する実質的な改革案を用意する」として、(1)医療機関の附帯事業目的の子会社設立の許容、(2)医療市場への進出・退出と営業規制の改革、(3)海外患者誘致の促進--の3つを示しました。

(1)では、外部資本の調達、医療関連企業との共同投資の活性化、海外進出支援などを目的として、医療法人が子会社を設立することを認めるとしています。子会社には株式会社も含まれますが、附帯目的事業のためのものに限定されます。これは、学校法人には子会社設立が認められていることに対応した措置とされていますが、子会社の乱用防止策と公共性ある医療法人の支援策が合わせて用意されます。附帯事業は、現在、医療関係者の教育、産後管理、葬礼式場に限定されていますが、研究開発、医療観光、医療関連産業などに大幅拡大されます(日本と異なり、韓国では、大病院が葬礼式場を直営することが一般化しています)。

(2)では、医療法人間の合併を許容し医療資源活用の効率性を向上させること、法人薬局の許容、および新医療機器の早期承認の3つがあげられています。韓国では日本と異なり、法人薬局は薬事法で禁止されていますが、それが憲法の職業選択に自由に反するとの最高裁判決が出されたため、有限責任会社の形態に限定して認めることになりました。

(3)の中心は、「上級病院(総合病院)」に課せられている外国人患者向けの病床規制(5%)の12%への引き上げが中心で、他に外国語表記の医療広告の大幅拡大と、国民の需要が多い民間資格(音楽心理指導士等)の国家資格化の推進が含まれます。

韓国医師会も「医療の営利化」と反対

この改革案が発表されるや、医療運動団体や野党(民主党)だけでなく、韓国医師会(大韓医師協会)も、特に病院の子会社設立や附帯事業の拡大、医療法人間の合併の許容に対して、「医療民営化の扉を開いた」、「事実上の営利病院の許容」、「(財閥病院等の)大型病院の市場独占」、「国民医療費の(不必要な)上昇につながる」等と強い反対の声をあげています(詳しくは「レイバーネット」の12月13日のユン・ジョン記者の解説記事<「医療の民営化」の扉を開いた政府>参照http://www.labornetjp.org/worldnews/korea/issue/privatization/1387003523529Staff)。

実は、韓国医師会は、従来、医療の営利化・産業化政策に対して明確な態度表明をしてこなかったのですが、ノ・ファンギュ現医師会長はそれに反対する立場を鮮明にし、ナイフを首に突きつけるパフォーマンスを敢行するなどしたため、マスコミでも大きく取り上げられました。一方、病院団体はこの改革案に対して沈黙を守っています。

韓国における医療産業化政策の流れ

日本ではほとんど知られていませんが、医療の産業化政策は韓国の方が先行しています。日本で、医療の産業化が政府文書に初めて登場したのは2010年の菅・民主党内閣の閣議決定「新成長戦略」であり、安倍内閣の「日本再興戦略」(2013年6月閣議決定)は、これを引き継ぐものです。

それに対して、韓国では進歩政権と言われたノ・ムヒョン政権(2003-2008年)が経済成長の低迷と雇用不安を打開するために、大統領直属の「医療産業先進化委員会」を設置し、2006年には医療の国際化、外国人患者の受け入れを目的として、特区に限定して営利病院の開設を認める特別法を制定しました。

この流れは、2008年に成立し、当初新自由主義的改革を掲げたイ・ミョンバク政権で本格化しました(鄭在哲「韓国医療保険制度の一本化後の現状と課題」『健保連海外情報』92号,2011)。2013年2月にに成立したパク政権は、この流れをさらに促進しています。

ただし、日本で医療の(営利)産業化政策をめぐって経済産業省と厚生労働省の間に少なからぬ対立があるのと同じように、韓国政府内でも、それに積極的な企画財政部と消極的な保健福祉部との間で相当の葛藤があります。合同文書公表後、保健福祉部の高官は「医療の営利産業化には反対。合同文書はそれとは無関係」とコメントしたそうです。ただし、韓国の企画財政部は日本の財務省と経済産業省の両機能を持つ強大な官庁であり、合同文書も同部主導でまとめられました。

もう一つ見落とせないことは、韓国の病院団体は、従来から伝統的な低診療報酬政策に強い不満をもっており、医療の営利化政策を暗黙に支持してきたことです。上述したように、合同文書に対しても沈黙しています(内心は喜んでいるとの推測もあります)。

そのために、医療法人の子会社の許容と附帯事業の拡大および医療法人間の合併許容は、医師会と病院団体との温度差を利用し、医療への国庫負担を抑制するために低い診療報酬を維持した上で、それを補填する高等戦術とも言えます。なお、韓国では、国民健康保険発足時から、低い診療報酬補填するために混合診療が許容されているので、日本のような混合診療解禁論争は生じていません。

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2. 日本の医療と医療政策についての韓国・国民健康保険公団からのインタビュー調査への回答(2013年11月29日)

【2013年11月30日に日本福祉大学で開催した「第8回日韓定期シンポジウム」参加のため来日した、韓国の国民健康保険公団の研究者(金道勲・健康保険研究院長期療養研究室長など4人)に求められて行った、インタビュー調査への回答です(当日の通訳は、日本福祉大学研究員の金圓景が行いました)。韓国側の日本の医療と医療政策についての独自の問題関心がよく分かるので、掲載します。日本と韓国の医療提供体制は民間病院主体である点では共通しています。しかし、韓国では財閥系の巨大病院がソウル首都圏の病院市場を主導しており、しかも全国の患者が、これら財閥系病院を含めた、ソウル首都圏の巨大病院に集中しているという、日本には見られない特徴があります。】

1. 診療報酬

韓国の診療報酬制度は、RBRVSに基づいて医療行為の相対点数を決めて、毎年調査される病院経営分析資料に基づいて、毎年1点当たり価格を決める点数制で運営しています。

日本は行為別点数を決めて1点当たり価格は10円で据え付けて、2年に一度、行為別点数を調整することが分かっています。

質問1.1点当たり価格を10円で固定するはずなら点数制を維持する理由は何ですか。

○現在では、特別の意味はない(慣例)。歴史的には、「点数単価方式」では、点数は医療技術の難易度、単価(1点当たり価格)は物価(米価)を表すとされ、診療報酬改定時に、両者またはいずれかが改定されていた(例:物価のみが上昇した場合は単価のみ引き上げ)。

○1958年に1点単価が10円に固定されたが、これは医療費の端数(1円未満の数字)を無くし、医療費計算を簡便にするためとされた。その後、コンピューターの進歩でこの問題は解決されたが、慣例で1点単価は10円に固定されている。

○政府・厚生労働省は診療報酬改定時に、点数操作により医療機関の誘導(普及したい医療行為の点数を高く設定する、抑制したい医療行為の点数は大幅に引き下げる等)を行っているが、日本医師会・病院団体とも現在の方式の変更は求めていない。

質問2.韓国は病院経営分析資料に基づいて原価分析(正確ではありませんが)を通じて価格を調整しています。日本が医師の人件費と看護師の人件費を反映して診療報酬を調整すると言っているのは、これが当たりますか。それなら医師と看護師の適正人件費はどのくらいの水準ですか。

○日本でも、過去何度も、診療報酬は個々の医療行為の原価分析に基づいて決定すべきとの意見が出されたが、技術的かつ理念的にそれは困難・不可能との結論に達した。ただし、外科系学会社会保険委員会連合(外保連)は、1982年以来、独自に、手術・処置・生体検査・麻酔のすべての術式について「技術度」「人件費」「材料・機器」等のコストを厳密に調査・分析した(ただし、私から見るとかなり高めの)、医療行為別の医療費データを発表している(『外保連試案』。最新版は2012年版(医学通信社,8400円))。

○現在では、日本では診療報酬改定は2年に一度、次の2段階で行われる。第1段階で、内閣が医療費全体の改定率を決定する。それは、中医協が2年に1度行う「医療経済実態調査」の結果や物価・賃金の動向等を踏まえて決められる「建前」になっているが、現実には内閣の「政治判断」によって決められている。第2段階で、個々の診療行為(医療行為)の点数改定が行われる。これの原案は、厚生労働省と日本医師会等の交渉によって作成され、中医協で承認される。手術等の点数設定時には、上記「外保連試案」が参考にされている。なお、最新の「2012年医療経済実態調査」結果は2013年11月6日の中医協に報告され、厚生労働省のHPに公開されている。

質問3.日本でも最高のエリートたちが医大進学を希望することは分かっています。それなら医師会の政治的なパワーがよほど強いと予想されるのに、診療報酬及び医療政策を決めるのに医師に有利に設計になっていますか。

●問いの設定がおかしい。日本でも、韓国と同様、理科系の「偏差値エリート」の多くが医学部に進学しているが、日本の政界や官界を支配している主力は文科系のエリートである。これは韓国でも同じハズである。

○日本医師会の政治的パワーは1960~70年代の経済の「高度成長期」には強く、国の財政余力も相当あったので、診療報酬も相当引き上げられた。当時は、武見太郎というカリスマ的医師が25年間(1957-1982年)も会長に君臨し、強力な政治力を発揮もした。しかし、低成長に移行した1980年代以降は、日本医師会の政治力は徐々に低下し、国家予算の制約も強まったため、診療報酬改定では、政府・厚生労働省の方が優位に立つようになった。この傾向は、21世紀に入って更に強まっている。

○日本医師会は全医師を代表する組織(ただし任意加盟)であるが、歴史的には、主として診療所開業医の利益を代表しており、過去には、病院よりも診療所に有利な診療報酬改定がなされてきたとの指摘もある。しかし、21世紀に入ってからは、病院医療の危機が社会問題になり、診療報酬改定の度に、病院への「傾斜配分」が行われている。最近では、日本医師会会長も2代(現会長・前会長)続けて、病院開設医である。

○日本の病院・診療所は民間医療機関に依存しているので、医療提供体制の改革については、日本医師会や病院団体の意向が現在でも相当反映される(厚生労働省の原案はしばしば変更される)。

○日本医師会が、韓国医師会と大きく異なるのは、政権政党(自民党)の有力な支持団体であると同時に、国民皆保険制度の堅持を掲げ、医療への市場原理導入(混合診療の全面解禁や株式会社による医療機関経営の解禁等)に反対し続けていることである。小泉内閣(2001~2006年)は、医療分野への市場原理導入を試みたが、医療団体は一致して反対し、それの全面導入を阻止した。最近では、日本医師会はTPP参加に強く反対している。

2. 病院経営

韓国では最近10年間に、中小病院が900余個から2700余個へ3倍に増えています。だから病床数も180,000個から510,000個へ増えています。しかし、病床稼動率が50%に及ぶことができない病院もあるなど、多くの中小病院の経営環境が難しくなっています。しかし、法人になっているので退出構造が当然にない状態です。

質問4.日本の中小病院の経営難はありますか。 あったら、これらの病院の退出はどのように行われていますか。

○日本では1990年以降、病院・病床数は漸減し続けているが、現在でも、人口当たり病床数は、OECD加盟国の中でもっとも多い(人口千対病床数は日本13.5床>韓国8.8床>アメリカ3.1床)。

○日本でも韓国と同じように、民間の中小病院の経営難が叫ばれているが、病院の倒産や閉鎖は、韓国に比べると桁違いに少ない(病院の年間倒産率は最近最大だった2007年でも0.21%<全事業所倒産率0.33%。日本の一般病院の2001~2006年の年平均閉鎖率は0.70%<<韓国の1996~2002年4.2%。二木立『医療改革と財源選択』勁草書房,2009,133-134頁)。

○逆に、病院チェーンや「保健・医療・福祉複合体」として急成長している民間病院も少なくない。つまり、病院の「階層分化」が進んでいる。

○民間病院の「退出」方法としては、病院施設そのものの閉鎖以外に、次の3つがある。(1)有床診療所への転換(日本では19床以下の医療施設は診療所とされ、人員・設備の規制が病院よりも緩い。その分、診療報酬も低い)。(2)大規模病院チェーンや「保健・医療・福祉複合体」への経営移譲・「身売り」(1990年代以降増加)。(3)経営破綻により事実上営利企業(大企業ではなく「新興企業」)の支配下に入った民間中小病院が増えていると一部では言われているが、実態は不明である。しかも、このような病院は以前から存在し、最近増加しているか否かも不明である。

○日本で病院の退出(閉鎖)が近年もっとも多いのは、実は、長年赤字に苦しんでいる地方の中小自治体(市町村立)病院である(2000年:767→2012年:700)。これの原因は、21世紀初頭に国が強力に推進した市町村合併(「平成の大合併」)による市町村数の激減(1999年の約3200から2006年の約1800へ)と市町村の財政悪化である。

質問5.韓国では医師人材と看護人材の不足及び地域的な不均衡が問題になっています。日本でも医師と看護師の不足及び地域的な不均衡問題がありますか。それなら、どんな方式で問題を解いて行っています。

○日本ではこの問題は、医師数の絶対的不足と医師の地域的な不均衡(偏在)の両側面から議論されている。日本では1980年代前半に、政府の諮問機関(臨時行政調査会)と日本医師会が医師過剰論を唱え、それを受けて、1982年に、医学部入学定員を抑制する閣議決定が行われた。それ以降四半世紀、医師数抑制政策が続けられた結果、21世紀に入って医師不足が社会問題化した。そのため、この政策は2008年の閣議決定で解除され、それ以降、既存の医学部の入学定員は急増している。医学部の新設は現在でも禁止されているが、安倍内閣は、最近、2011年3月11日の東日本大震災後、医師不足がさらに深刻化した東北地方に限って、それを認めることを検討している。

○看護師の養成は近年加速し、特に看護学部(大学での看護師養成)が急増している。看護師は近年、女性の憧れの職業となり、志望者も急増している(本学も2015年度に新たに看護学部を開設予定)。

○医師の地域的な不均衡対策としてもっとも効果があるのは「地域枠」(大学のある県出身者の別枠入学)であり、最近、地方の医学部ではかなり広がっている。これの効果は国際的にも確認されている。これに加えて、最近は、都道府県単位の(専門診療科別の)「医師定員」枠の設定も提案されている。

○看護師の地域的な不均衡もあるが、医師ほど大きくはない。そのため、それの是正策は検討されていない。

3.医療提供体制

質問6.最近、世界の主要国家でManaged care,Integrated careなどの診療所と病院、診療所と病院と保険者(または保険会社)等が協議あるいは統合されて1つの医療群を形成して医療サービスを提供しています。例えばアメリカではACO、イギリスではPCTなどがあります。日本では診療伝達体制を通じて段階別の医療利用を勧奨していますか。IDSへの変化が進行していますか。

●事実認識が不正確である。そもそもmanaged careとintegrated careは原理的には別物であり、しかもmanaged careは本家のアメリカでもマイナスイメージが定着している。「診療所と病院、保険者(または保険会社)等が一つの協議あるいは統合されて医療群を形成して医療サービスを提供」しているのは、医療国営の国以外では、きわめて例外的である。アメリカのACOとイギリスのPCTは別物である。

○日本では、1990年代以降、医療機関が保健・福祉分野に進出する「保健・医療・福祉複合体」(日本型のIDS)が増加し、2000年の介護保険制度創設以降は、この動きが加速している。厚生労働省が2010年以降進めている「地域包括ケアシステム」も、ゆるやかな形の(経営統合は含まない)integrated careと言える。これらについては、2011年11月の私の講演「日本の保健・医療・福祉複合体の最新動向と『地域包括ケア』システム」(韓国延世大学高位者課程修了生訪問団への特別講義。韓国語訳)参照[『TPPと医療の産業化』勁草書房,2012,第4章第3節]。

質問7.韓国では2015年から遠隔医療を本格的に施行する予定です。日本の場合はどんな論議になっていますか。

○日本では、従来から医師の間の遠隔医療は法的には問題は無かったが、医師と患者の間の遠隔医療は、これまで対面診療が原則であった医師法(20条)により禁止されていた。しかし、近年法解釈が一部変更になり、1997年に離島山間部僻地で、2003年には安定期にある慢性疾患患者の一部で遠隔医療が可能になっており、今後この規制はさらに緩和される方向である(以上、日本版Wikipediaより)。

○遠隔医療についての最近の新しい(私から見て)危険な動きは、政府の規制改革会議等が、それを混合診療の対象にしようとしている(遠隔医療に必要な診療機器等の全額患者負担)ことである。

4.その他

質問8.日本の医療保険は組合中心政策を維持しています。大きく職場組合、地域組合(市町村国保)で区分することができます。しかし、高齢化になって引退をするようになれば、これらは地域組合に行くようになります。そのようになれば、医療利用が多くて所得が少ない高齢者人口を地域組合が引き受けるようになるはずだが、これは不公平なことではありませんか。

●「日本の医療保険は組合中心政策を維持」は間違いで、健康保険(職域保険)と国民健康保険(地域保険)の二本立方式である。日本では、現在は、この方式を変えるよう主張している有力な政治勢力はない。民主党は2009年の総選挙公約では健康保険と国民健康保険の「統合」・「一元的運用」を掲げていたが、政権に就いた途端、それを「棚上げ」した。

○指摘されたような「不公平」を是正するために、(1)国民健康保険には多額の公費が投入されている(保険給付額の5割)、(2)「後期高齢者医療制度」には、公費に加え、健康保険からの拠出金も投入されている。ただし、健康保険側(健保連)は、逆に(2)を「不公平」と主張している。

質問9.韓国は医療関連産業を未来産業の一つと見なしており、医療器機産業、製薬産業、医療観光などを試みています。日本の場合、医療産業化の部分に対してどんな接近をしていますか。

○日本でも状況は同じである。2010年に民主党の菅内閣が閣議決定した「新成長戦略」は、医療・福祉を「経済成長の牽引役」に位置づけ、医療の営利産業化を目指した。この点については、2011年の第6回日韓定期シンポジウムでの私の報告「民主党政権の『新成長戦略』・『ライフイノベーションによる健康大国戦略』の複眼的検討」参照(韓国語訳)[『TPPと医療の産業化』勁草書房,2012,第2章第6節]

○2012年12月に3年ぶりに政権復帰した自民党・公明党連立内閣も、2013年6月に閣議決定した「日本再興戦略」で、ほぼ同じ政策を掲げた。

○しかし、医療は経済成長の「下支え」ではあるが、「成長牽引産業」にはなりえないことについて、(医療)経済学者の認識は一致している。しかも、「下支え」するためには、公的費用の継続的投入が必要である。私は、日本では医療ツーリズムが急拡大する条件はないと判断している。しかも、仮にそれが拡大しても、高所得国では、国民医療費対比ではごくごく小規模にとどまる(OECD加盟国中最大「輸入国」であるドイツでも0.5%:OECD "Health at a Glance 2009:172頁)。

質問10.日本には実損型民間医療保険がありますか。本人負担金を補ってくれて、給付外の部分を支援してくれますか。この民間医療保険が医療利用を誘発していますか。どんな政策を取るのがいいですか。

○日本でも実損型民間保険は販売されているが例外的で、主流は定額給付である。この給付は、医療費本体の自己負担の補填より、差額ベッド等保険外の自己負担の補填として使われていると思われる。

○日本と韓国は国民皆保険制度を採用している点では共通しているが、患者負担と保険給付範囲には大きな違いがある。(1)日本の患者負担割合は韓国に比べると低く、高額療養費制度も充実している。(2)日本の保険給付範囲は韓国に比べてはるかに広い。(3)日本では、韓国と異なり、混合診療が原則的に禁止されている。これらのため、日本では患者の自己負担が多額になることはほとんどなく、民間医療保険の存在意義はないと私は考えている。

○しかも、日本の民間医療保険市場はアメリカ企業(アフラック)が支配しており、民間医療保険の拡大は国富のアメリカへの流出を加速する。

質問11.韓国の政府と政治圏では急増する高齢者人口の増加等に医療市場化と民営化を通じて国家の財政負担を減らそうとしています。日本でも、急増する高齢者人口と医療費に対応して、日本政府が医療市場化を政治的に推進したことが分かっています。その推進背景と、問題点について知りたいです。

○人口高齢化そのものによる医療費増加はごく限定的であることは、医療経済学の膨大な実証研究で疑問の余地無く証明されている(世界一の高齢国・日本ですら、年1%強)。

○「医療市場化と民営化」により、私的医療費だけでなく、公的医療費・総医療費も増加することも、国際的に確認されている。

○小泉内閣後、「日本も急増する高齢者人口と医療費で日本政府が医療市場化を政治的に推進」しようと試みたが、厚生労働省や日本医師会等の反対により、ほとんど進んでいない。つい最近(2013年9月)、日本最強の官庁である財務省高官も、「混合診療の全面的解禁には反対の立場」を表明した。

質問12.韓国では(財閥等の)大病院がソウル首都圏に偏在しており、全国から患者がそれら大病院に集中するため、地方の病院は、公立、民間とも経営危機に陥っています。日本でも、同じようなことは起こっていますか。

○日本でも、大病院への患者集中は生じているが、韓国と異なり、全国レベルでの、東京首都圏への患者集中は生じていない。日本では、患者の居住地以外の都道府県への「流出」率は、全国平均では、入院でも5.7%、外来では2.7%にすぎない(「平成23年患者調査」)。ただし、同一都道府県内での大都市(大半が県都)の大病院への患者集中は生じている。

質問13.韓国の病院市場には1980年代から財閥病院(三星、現代、大宇等)が登場しましたが、このような財閥病院は日本にもありますか。あったら公共性よりは収益性を重視する財閥病院が持つ問題点を解決するための努力はありますか。

●この点で、韓国は二重に超・特殊である。(1)高所得国で、現在でも、財閥(chaebol)が国民経済を支配・主導しているのは韓国だけである。(2)財閥病院が多数存在するのも韓国だけである。

○日本では第二次大戦の敗戦後、アメリカ占領軍により財閥は解体された。その後、旧財閥別の大企業グループ(「系列」)が再形成されたが、韓国の財閥のような特定家族への権限集中はない。しかも1990年代以降、大企業の系列を超えたM&Aが進み、系列の凝集力は急低下している。

○日本では、第二次大戦後の1948年に制定された医療法により、株式会社の病院の新規開設は禁止されている。同法以前から開設されていた企業病院(大半は大企業の従業員を対象とした病院)は、その後も例外的に存続を許されたが、病院数は減少し続け、しかも大半が赤字経営に苦しんでいる(企業立病院数:1990年85→2000年67→2012年64)。これらのうち、大規模でしかも経営マネジメントが優れ継続的に黒字なのは1病院のみと言われている(福岡県の株式会社麻生飯塚病院:1918年に石炭王が篤志家的に設立。1116床)。

質問14.一気に公共性と保障性をあげにくい時代的な状況を考慮する時、合理的代案はありますか。二木立学長の高見を聞きたいです。

○「公共性と保障性」の両立を図るためには、3つのことが必要と考える。(1)社会保険料を主財源、公費を補助的財源として、国民医療費拡大の財源を確保する。(2)医療の非営利原則を貫き、医療への市場原理導入を認めない。(3)医師・医療機関が自己改革を行い、医療の質と透明性を主導的に引き上げる。

○「社会保障制度改革国民会議報告書」(2013年8月)の「II医療・介護分野の改革」の「改革の方向性」は韓国にとっても参考になると思うので、ぜひ読んでほしい。例えば、「医療問題の日本的特徴」の項では、欧州に比べた日本の病院制度の特徴(私的病院主体の「規制緩和された市場依存型」)を指摘し、今後の改革は「市場の力」でもなく、「政府の力」でもない「データによる制御機構をもって医療ニーズと提供体制のマッチングを図るシステムの確立」を提唱すると共に、「医療専門職集団の自己規律」を強調している。これは、医療制度改革の「第三の道」!

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3.最近発表された興味ある医療経済・政策学関連の英語論文

(通算97回.2013年分その10:7論文)

「論文名の邦訳」(筆頭著者名:論文名.雑誌名 巻(号):開始ページ-終了ページ,発行年)[論文の性格]論文のサワリ(要旨の抄訳±α)の順。論文名の邦訳中の[ ]は私の補足。

○医療サービスの認証:費用を正当化する便益があるとの根拠は何か?
Mumford V, et al: Health services accreditation: What is the evidence that the benefits justify the costs? International Journal for Quality in Health Care 25(5):606-620,2013.[文献レビュー]

2011年6~12月に、7つの医療系・経済系のデータベースおよび認証機関や各国保健省のウェブサイトを検索し、医療サービスの認証の経済的評価についての英語の実証研究論文を研究を検索した。検索時点では、医療サービスの認証についての正式な経済評価(費用便益分析等)はまだ行われていなかった。それの費用または便益についての実証研究論文(それぞれ6、15)の分析を行った。各論文のアウトプットは多様であったため、メタアナリシスは行わえず、研究デザイン、スケーラビリティ、アウトカムデータの独立性に関連する要因を検討した。便益分析については、認証が患者の安全性や医療の質を改善するとの主張の根拠の強さ、および潜在的なバイアス源も評価した。費用分析では、認証サイクルにおける増分費用は総費用の0.2~1.7%であった。便益分析では、認証が患者の安全性や医療の質を改善するとの明確な根拠は得られていなかった。医療サービスの認証についての正式な経済評価がないため、それと医療安全と医療の質を改善する他の手法との比較は困難である。

二木コメント-医療サービスの認証の費用と便益についての本格的な文献レビューです(最初の文献レビューは2008年に発表)。一般の医療技術と異なり、「複雑な介入」である医療サービスの認証の正式な経済評価(費用便益分析等)は行われていないだけでなく、その効果もまだ厳密には実証されていないことが分かります。医療サービスの認証と、医療安全と医療の質を改善する他の手法の費用対効果を比較する必要があるとの視点は新鮮です。

○プライマリケアでの投薬安全性を改善するための情報技術介入:体系的文献レビュー
Lainer M, et al: Information technology interventions to improve medication safety in primary care: A systematic review. International Journal for Quality in Health Care 25(5):590-598,2013.[文献レビュー]

投薬安全性の改善はすべての臨床場面での重要な課題になっている。情報技術(IT)は薬物有害事象(ADEs)を予防する上で重要な役割を果たしうるが、IT介入の効果のデータについては論争がある。そこで、Pub Med等、4つの文献データベースを用いて、プライマリケアでの投薬安全性に対するIT介入の効果をランダム化比較対照試験で検討している論文を検索し、体系的文献レビューを行った。厳密な選択基準(略)に合致したのは10論文であった。臨床意思決定支援(CDS)を伴うコンピュータを使ったオーダー・エントリー(CPOE)の効果を評価した論文は6つあったが、そのうち安全でない処方を減らしたものは3つだけであった。2つの薬剤師主導のIT介入は、潜在的に不適切な薬剤処方や妊婦に対する安全でない処方を減らしていた。薬物有害事象を減らしたウェブプログラムやテレウオッチシステム介入は皆無であった。結論的には、10のランダム化比較対照試験のうち、5つしか医薬品エラーを減らしていなかった。臨床意思決定支援(CDS)を伴うコンピューターを使ったオーダー・エントリー(CPOE)は、潜在的に不適切な医薬品に対象を限定した場合には、効果があった。薬剤師主導のIT介入が効果的であったことは、専門職間のコミュニケーションを伴うIT介入が効果的であることを示している。以上の結果は、大規模なIT介入を実施する前に、厳格な評価が必要であることを示している。

二木コメント-投薬安全性を改善するためのIT介入は限定的であることが分かります。この文献レビューでは「効果」のみを検討し、「費用」または「費用対効果」は検討していません。

○[医療の]過剰利用測定の現状:批判的文献レビュー
Chan KS, et a: The state of overuse measurement: A critical review. Medical Care Research and Review 70(5):473-496,2013.[文献レビュー]

医療の過剰利用は不必要な費用を生み、患者を危険にさらす。この問題を理解し取り組むためには包括的で信頼性のある計量的尺度が必要である。本論文では、過剰利用測定の現状を批判的に検討するために、公刊文献、「灰色文献」、主な開発業者が作成した尺度等をレビューする。37の特異的尺度、それ以外の123の尺度(measurement opportunities)、合計160尺度を同定した。多くの診断・スクリーニングサービスはリスクの低いポピュレーションに対して拡張された場合、過剰利用と判断されていた。診断・治療の過剰利用の尺度の方が、スクリーニングやモニタリングのそれよりも多かった。画像診断が現在の尺度の焦点となっていたが、薬剤処方、臨床検査にも過剰利用尺度を拡大する余地が存在した。

二木コメント-医療の過剰利用測定の方法論に焦点を当てた文献レビューで、それだけに記述は難解です。本論文でも引用されている、医療経済学者のフュックス教授の評論「医療における『無駄』の除去[の困難性](Fuchs VR: Eliminating "waste" in health care. Journal of the American Medical Association 302(22):2481-2482,2009)は、本「ニューズレター」67号(2010.3)で紹介しました。なお、アメリカの各種医療サービスの過剰利用率推計の最新レビューは次の文献だそうです。Korenstein D, et al: Overuse of health care services in the United States: An understudied problem. Archives of Internal Medicine 172:171-178,2012.

○[アメリカにおける医療の]過剰利用と医療方式-体系的文献レビュー
Keyhani S, et al: Overuse and systems of care - A systematic review. Meical Care 51(6):503-508,2013.[文献レビュー]

アメリカの現在の医療改革では、医療制度を再組織し、医療の無駄を減らすことが目指されている。そこで、異なる医療方式における過剰利用率を比較し、医療提供または保険の特定の方式が医療サービスの過剰利用率を減らせるか否かを検討することを目的にして、Medlineに1978年(医療の質測定の初めての枠組みが発表された年)~2012年に掲載された文献を検索し、最終的に異なる医療方式間で5つの医療サービスの過剰利用率を比較した7つの研究を同定した。それらでは、冠動脈造影法、冠動脈内膜切除術、上気道感染治療における抗生物質処方、心筋血流イメージング、胃潰瘍治療における内視鏡観察の過剰利用率が、HMO(またはマネジドケア)対出来高払い間、連邦退役軍人庁の医療対民間医療間で比較されていた。その結果は一定せず、特定の医療方式が、医療サービスの過剰利用を最少化する上でもっとも効果があるとの根拠は得られなかった。

二木コメント-かつてアメリカでは(日本でも)HMOまたは包括払い方式が医療の過剰利用を予防し、医療費を節減できると主張されていましたが、それは「神話」だったようです。

○ヨーロッパとアメリカ各州における安楽死と[医師による]自殺幇助-体系的文献レビュー
Steck N, et al: Euthanasia and assisted suicide in selected European countries and US states - Systematic literature review. Medical Care 51(10):938-944,2013.[文献レビュー・国際比較]

医師による自殺幇助と自発的積極的安楽死はヨーロッパ諸国とアメリカの州の一部で合法化されているが、それらの国・州を含め今なお論争が続いている。本研究の目的は自殺幇助が合法化されている6つの国・州(ベルギー、ルクセンブルグ、オランダ、スイス、アメリカのオレゴン州、ワシントン州、モンタナ州)における自殺幇助の数と特性、およびそれらの趨勢を調査することである。そのために、MedlineとEmbraceをによる雑誌掲載論文の検索に加えて、自殺幇助を合法化している国・州の公式報告書を収集し、最終的に25文献を選択した。それらから、自殺幇助の総数、総死亡に対する割合、自殺幇助を受けた個人の社会的・人口学的・臨床的特性についての情報を抽出した。死亡総数に対する医師が幇助・関与した死亡(PAD)の割合は、アメリカの各州とルクセンブルグの0.1%~0.2%から、オランダの1.8%~2.9%まで、幅があった。保健当局への報告数はほとんどの国・州で増加していた。医師の幇助・関与を受けて死亡した人の典型は、十分な教育を受けた、60~85歳の男のがん患者であった。各国・州間で多少の共通性はあるが、自殺幇助で死亡した人の数と特性には大きなばらつきが見られた。

二木コメント-医師による自殺幇助の実態についての初めての「(半)定量的」国際比較と思います。

○ヨーロッパにおける社会民主党系政府と保健医療政策:量的分析
Mackenbach JP, et a: Social-democratic government and health policy in Europe: A quantitative analysis. International Journal of Health Services 43(3):389-413,2013.[量的研究・国際比較]

保健医療政策は究極的には政治的意思決定に依存するが、政治の保健医療政策導入や国民の健康アウトカムに対する影響の実証的エビデンスはほとんどない。本研究では、ヨーロッパ30か国における1946~2008年の社会民主党の政権参加が予防的保健医療政策指標(喫煙、飲酒、食物、母子・小児保健、感染症、高血圧、癌スクリーニング、道路交通安全、大気汚染)に与える影響を、回帰分析により評価した。社会民主党の政権参加の累積年数はヨーロッパ諸国間で大きく異なっていた。現在の各国の健康医療政策のパフォーマンスの指標も同様であり、しかもそれは最近の社会民主党の政権参加とは関連していなかった。しかし、それは合計50年以上の社会民主党政権参加とは正の関連があった。社会民主党の政権参加のプラスの効果は主に、喫煙と飲酒の抑制指標で顕著だった。同様の関連は所得不平等についても見られた。以上から、長期間の社会民主党の政権参加は、一部の予防的保健医療政策にはプラスの影響を与えており、それはおそらく強力な公衆衛生組織や強力な公衆衛生労働力を創たためだと結論づけられる。

二木コメント-社会民主党の政権参加と保健医療政策の関連を長期間にわたって定量的に検討した、野心的またはユニークな研究です。

○環太平洋連携(TPP)協定はいかにしてニュージーランドでPHAMAC[医薬品管理庁]を浸食し、手頃な価格の医薬品に対するアクセスと健康の平等を脅かすか?
Gleenson D, et al: How the Trans Pacific Partnership Agreement could undermine PHARMAC and threaten access to affordable medicines and health equality in New Zealand? Health Policy 112(3):227-233,2013.[政策研究]

ニュージーランド医薬品管理庁(PHARMAC)は、強力な価格交渉、革新的な調達メカニズム、および医薬品の価格に応じた価値の注意深い評価の3つを結合することにより、医薬品価格を手頃にしてアクセスしやすくすることに成功してきた。最近、アメリカ政府は、一連の二国間および多国間の「自由」貿易協定により、他国の医薬品アクセス計画に制限を加え、自国製薬企業の利益を促進しようとしている。環太平洋連携(TPP)協定はそれの最新の例である。TPP協定により、アメリカは医薬品の参照価格制度の廃止、医薬品企業が各国の医薬品収載や薬価決定に訴訟を起こせる仕組みの導入、各国の医薬品(と医療機器)の給付・価格の意思決定過程に対する医薬品企業の関与を強める「透明化」措置の導入を求めている。本論文では、もしアメリカの主張が認められた場合には、ニュージーランドで医薬品の価格が増加し、手頃な価格の医薬品へのアクセスが制限されると主張する。それにより、現存する医薬品に対するアクセスの不平等が悪化し、特に恵まれない人々に甚大な影響を与えるであろう。

二木コメント-私は、英文の医療経済・政策学関連の専門誌約30誌を毎号チェックしていますが、それらにTPPの医療に与える影響を分析した学術論文が掲載されたのはこれが初めてと思います。なお、Health Policy 112巻3号は「医薬品政策とその結果」(Pharmaceutical policies and their outcomes)を特集し、6論文を掲載しています。それらは、ヨーロッパ全体における医薬品価格の動向(予想に反して収斂していない)、および韓国、ニュージーランド(本論文)、オランダ、イタリア、カナダの5か国の最近の医薬品政策(の一部)を分析しており、医薬品政策の研究者必読と思います 。


4.私の好きな名言・警句の紹介(その110)-最近知った名言・警句

<研究と研究者のあり方>

<組織のマネジメントとリーダーシップのあり方>

<その他>

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