総研いのちとくらし
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『二木立の医療経済・政策学関連ニューズレター(通巻118号)』(転載)

二木立

発行日2014年05月01日

出所を明示していただければ、御自由に引用・転送していただいて結構ですが、他の雑誌に発表済みの拙論全文を別の雑誌・新聞に転載することを希望される方は、事前に初出誌の編集部と私の許可を求めて下さい。無断引用・転載は固くお断りします。御笑読の上、率直な御感想・御質問・御意見、あるいは皆様がご存知の関連情報をお送りいただければ幸いです。


目次


お知らせ

1.講義「安倍政権の医療・社会保障改革-新著の紹介と執筆プロセス」を5月12日(月)午後8時05分~9時35分に、日本福祉大学名古屋キャンパス(JR中央線鶴舞駅下車)で行います(大学院公開講義「私の研究テーマと研究方法」第4回。無料)。参加ご希望の方は大学院のホームページ(HP)からお申し込み下さい。当日は新著の割引販売も行います。

http://www.n-fukushi.ac.jp/gs/2014/kougi/

2.インタビュー「私の先生 『君と上下関係にはない』」が「中日新聞」4月16日朝刊に掲載されました。私が医学部卒業直後から医療政策研究の指導を受けた川上武先生が、生涯「在野」&「反権威」の人であったことを紹介しました。日本福祉大学のHPの「学長メッセージ」欄に転載されています。

3.インタビュー「危機と発展を複眼的に捉え、民主的でスピード感ある運営と情報公開で難局を乗り切る」が『Between』(進研アド)2014年4-5月号(4月25日発行。「荒波に挑むトップ 私の改革論」No.1。28-30頁)に掲載されました。進研アドのHPに、5月15日にPDFファイルが公開されます:http://shinken-ad/between/backnumber/index.html

早く読まれたい方は、私に直接ご連絡下さい。

4.本「ニューズレター」117号(2014年4月)に添付した、大学院「入院」生のための論文の書き方・研究方法論等の私的推薦図書(2014年度版,ver.16)の「付録:研究についての名言クイズ32問」の答えは以下の通りです。

模倣、重要度/発見、ただのバカ/確信(または信念)、自己懐疑、変わる/教養、価値観/仮説、書き直さ/事実、政治スタッフ/continuation・続ける、惰性/論文、量、あきらめ、小さく、弁解、批判/日曜日、忙しい、無理/勉強、スマート/社会性、雑用/ひとりで/楽しむ、好き、恋心


1. 論文:7対1病床大幅削減方針の実現可能性と妥当性を考える

(「二木学長の医療時評(121)」『文化連情報』2014年5月号(434号):16-22頁

2014年度診療報酬改定の最大の眼目の1つは、7対1入院基本料(以下、7対1病床)の算定要件の見直し・厳格化です。具体的には以下の5つです。(1)特定除外制度の廃止、(2)従来の「重症度・看護必要度」に代えた「重症度、医療・看護必要度」の導入、(3)「自宅等退院患者割合」(75%)の新設、(4)短期滞在手術の対象拡大と平均在院日数からの除外、(5)データ提出加算の届け出の要件化。7対1病床の算定要件は2008年と2012年にも見直されましたが、今回の見直しははるかに厳しく、厚生労働省の大幅削減の強い意志が表れていると言えます。

政府は、これにより現在36万床ある7対1病床を2年間で9万床(25%)削減する方針と報道されています。2025年までには18万床減らし、7対1病床を半減させる方針との報道もあります。ただし、厚生労働省は公式にはこのような数値目標は一切示しておらず、2年間で9万床削減と明示している政府の公式文書は、財務省が本年1月28日の財政制度等審議会に提出した資料「財政制度等審議会『平成26年度予算の編成等に関する建議』の反映状況」だけです。しかも、それには、「過剰となっているいわゆる『7対1入院基本料』算定病床の要件を厳格化し、同病床を▲9万床減少する(改定率換算で▲0.15%)」と書かれているだけで、その根拠は示されていません。

しかし、多くの医療関係者はこの数値目標を既定の事実と考えているようです。早々と「7対1病床は半分になると思う」と大胆な予測をされた病院団体幹部もいます。私自身、2月初旬に行った講演で、「7対1病床削減で余った看護師は、訪問看護等在宅に回るのか?」との気の早い質問を受けました。その際、私は7対1病床の大幅削減は困難との「客観的」将来予測を述べました。本稿では、私がこう判断する2つの理由を述べます。合わせて、7対1病床削減の議論で見落とされている7対1病床の効果(私の事実認識)を指摘します。

1 7対1病床大幅削減方針は「2025年モデル」オリジナル版と矛盾

第1の理由は、それが厚生労働省が公式に掲げている医療の「2025年の姿」(以下、「2025年モデル」)と矛盾するからです。こう書くと、「厚生労働省は今改定を2025年に向けて、医療提供体制の再構築を図るためと位置づけているのではないか?」と疑問を持たれる方も多いと思います。事実、同省は公式には、今回の改定を「2025年のあるべき姿を目指して一体改革をすすめる」ための「第二歩目」と位置づけています(第一歩目は2012年改革)(1)

しかし、一般にはほとんど知られていませんが、厚生労働省の「2025年モデル」にはオリジナル版と修正版の2つがあり、私が取り上げるのはオリジナル版です。オリジナル版は、まだ民主党政権だった2011年6月2日の「社会保障改革に関する集中検討会議(第10回)」に厚生労働省が提出した「医療・介護に係る長期推計」に含まれていた「医療・介護サービスの需要と供給(必要ベッド数)の見込み」中の「改革シナリオ」です(図表1)(PDF)。

このシナリオは、2008年の社会保障国民会議報告で示された「医療・介護費用のシミュレーション」の推計手法を踏襲しつつ、目標値を大幅に引きあげたもので、2011年の一般病床107万床(区分なし)を2025年には高度急性期18万床、一般急性期35万床、亜急性期等(亜急性期・回復期リハ)26万床、地域一般病床24万床に再編することを予定していました。その際、急性期医療に「医療資源の集中投入」を行い、平均在院日数を大幅に短縮するとしていました。そのために必要な各病床ごとの職員数増加と平均在院日数は、(1)高度急性期:2倍化、15~16日。(2)一般急性期:6割増、9日。(3)亜急性期等:3割増、60日-とされていました。なお、「医療・介護に係る長期推計」の作成経過と歴史的意義(「今後の医療・介護の充実強化の羅針盤」!)については、作成の中心になった香取・武田両氏が詳細に論じており、御一読をお薦めします(2)

私は、一般急性期の平均在院日数を9日に短縮することは現実的ではないと疑問を持っています。しかし、今後の人口高齢化の急速な進行により高齢患者や救急患者が急増する反面、厳しい財政事情のためにそれに見合って病床数を増やせないという制約条件を考えると、病床当たりの職員数を大幅に増やして、すべての種類の病床の平均在院日数を短縮するという「医療・介護に係る長期推計」の戦略は妥当であると思います。この「長期推計」には、「平均在院日数と1病床当たり職員数」との間には明らかな逆相関があることを示す国際比較図も示されていました(図表2))(PDF)。

当然、この推計では高度急性期と一般急性期では、看護配置基準を現行(7対1等)より大幅に引きあげることが想定されていると考えられますし、そのためには2014年度の診療報酬改定で入院看護料を大幅に引きあげることが不可欠でした。

「2025年モデル」修正版では職員増が消失

ところが、厚生労働省保険局医療課は、オリジナル版発表後半年後の2011年11月25日の中医協(第208回)に「2025年モデル」の修正版(「現在の一般病棟入院基本料の病床数」)を提出しました(図表3))(PDF)。この図は、「2010年の病床数」を「一般病棟入院基本料」別の病床数分布(杯型)で図示し、それを2025年には「砲弾型」に変える「イメージ」を示したものです。ただし、2025年の4種類の病床の病床数は上記オリジナル版と同じでした。この図は、2010年の7対1病床(32.8万床)が2025年の高度急性期(18万床)に対応するように描いていたため、現行の7対1病床は過剰で大幅に削減する必要があると認識・錯覚させる視覚的工夫(?)がなされていました。ちなみに、外見は似ているが中身は全く異なるものを比較することを「リンゴとオレンジの比較」と言います。他面、オリジナル版に明示されていた、急性期医療への「医療資源の集中投入」は削除されました。

その後しばらく、厚生労働省は「2025年モデル」のオリジナル版と修正版を併用していましたが、最近は修正版のみを示すようになり、「平成26年度診療報酬改定の概要」でも修正版のみが示されています(ただし、7対1病床数は最新数値の35.8万床に変更)。この「概要」では、今回改定の「基本方針のポイント」として、「在宅医療の充実」が掲げられる一方、「2025年モデル」オリジナル版で示されていた急性期医療への「医療資源の集中投入」は削除されています。

そのため、修正版を前提にすれば、7対1病床は高度急性期に限定され、一般急性期は10対1病床または13対1病床に引き下げられることになります。しかし、このような看護水準で一般急性期の平均在院日数を9日に短縮することは不可能です。逆に、7対1病床大幅削減と平均在院日数短縮の同時達成を目ざすと、看護職の労働強化→離職増加→看護・病院危機が再燃する危険があります。日本看護協会も、今回の「7対1入院基本料の要件見直しの方向性は理解」する一方、「今回、新設された地域包括ケア病棟や7対1算定病棟などでは、看護職員の業務の過密化が予想され」、「過度の業務負担がかかれば、看護職員の健康や離職などへの深刻な影響が懸念され、確保定着に悪影響をもたらすのではないかと大変憂慮して」もいます(3)(これは、典型的な"Yes..., but..."論法(最初に建前を書き、but以下で本音を書く)であり、協会の苦しい胸の内が示されていると思います)。

なお、厚生労働省は「高度急性期」として、7対1病床ではなく、今回新設された「総合入院体制加算」算定病床を想定しているとの意見もあります。しかし、この算定基準はきわめて厳しく、すぐに算定できる病院は全国でわずか11病院にすぎないことを考えると、2025年までにこれを18万床まで増やすことは不可能です。

2 7対1病床大幅削減方針は民間病院の「活力」を無視

私が7対1病床の大幅削減が困難だと考えている第2の理由は、民間病院が大きな「活力」をもっており、7対1病床維持のために必死に対策を立てて対応するのが確実だからです(「上に政策あれば、下に対策あり」)。

一般に「活力」(バイタリティ)には、時代の変化に対応して新しい事業・試みに挑戦するという意味での「創造的活力」と、危機に際して「生き延びる」という意味での「活力」の2種類があります。この区別は、アメリカの大学教育の歴史研究により発見されました(4,5)。日本の民間病院のうち、「創造的活力」を持っている病院はごく限られますが、危機に際して「生き延びる」という意味での活力は大半の民間病院が持っており、今までも厚生労働省の診療報酬操作による誘導策に必死に対応・抵抗してきた歴史があります。

私には、7対1病床の大幅削減方針は、2006年の医療制度改革関連法に含まれていた「療養病床の将来像(案)」とダブって見えます。当時、厚生労働省は、医療療養病床を25万床から15万床に10万床(4割)も削減する計画を立て、そのために同年の診療報酬改定で医療区分1の患者の報酬を大幅削減しました。しかし、この直後から、医療療養病床の大半は、医療区分1の患者中心から同2・3患者中心への「シフト」を行った結果、医療療養病床の倒産・閉鎖はほとんど生じず、厚生労働省の願望とは逆に、医療療養病床数は増加しました。

冒頭に述べたように、今回の7対1病床の算定要件はきわめて厳しく、私も、特に単科の小病院(専門病院)を中心に、数万床減少すると思います。しかし、民間病院の上記「活力」を考えると、2年間で9万床の削減は困難、ましてや2025年までに18万床削減するのは不可能だと判断しています。厚生労働省が公式には7対1病床削減の数値目標を公表していないのも、このことを見越しているためと思います。

私は、本稿執筆のために、地元の愛知県、医師・看護師不足が顕著な北海道、民間病院「激戦区」の大阪府、及び2つの全国的医療組織の関係者等から、各地域・組織の7対1病床病院の今後の対応についての情報を非公式に集めましたが、ごく一部の病院を除いて、7対1病床を維持するために最大限の努力を払っているとのことでした。日本看護協会が本年3月に発表した「2013年病院における看護職員需給調査」(対象は全国の病院の看護部長。調査期間は2013年10月)速報でも、回答した病院の7割が看護職員の採用増を希望しており、8割が入院基本料の現状維持を希望していました。

ここで注意しなければならないことは、診療報酬操作による医療機関誘導は万能ではないことです。従来、厚生(労働)省は、特定の医療サービスの拡大をはかるときには、その点数を最初から高く設定するか、大幅に引き上げ、その結果、その医療サービスが同省の当初の思惑を超えて拡大することが少なくありませんでした。それの草分けは1970年代の人工腎臓の保険導入と言えます。1994年の「2対1看護基準」(現10対1)新設後も、厚生省の思惑を超えて、同病床が急増しました。2000年に新設された回復期リハビリテーション病棟の増加にも目を見張るものがあります。

他面、特定の医療サービスを減らそうとして、点数を下げたり施設基準を厳しくしても、医療機関・病院が必死に抵抗・対応して、厚生労働省の思惑通りにならないことも少なくありません。上述した、療養病床の大幅削減の失敗がその典型です。診療報酬操作による医療機関誘導効果については、今後、詳細な事例研究等を行いたいと思っています。

3 7対1病床過剰論の盲点

最後に、今回の7対1病床大幅削減方針の背後にある、7対1病床過剰論の2つの盲点を指摘します。財政制度等審議会「建議」(2013年7月)は、7対1病床が2006年の新設時に厚生労働省が想定した数値(公式には発表されていないが7万床説が有力)よりも大幅に増加したことを根拠にして「過剰な病床の供給による高コスト化」が生じたと批判しています。ほとんどの全国紙もこの過剰論を肯定しており、7対1病床が「無駄」、「贅沢」とする報道すら散見されます。このような報道は、2006年に7対1病床が新設された当時は、(急性期)医療の危機・荒廃が社会問題化しており、各紙が急性期医療への診療報酬の重点配分を主張していたのと対照的です。

しかし、7対1病床過剰論は、以下の2点を見落としています。1つは、日本の病床当たり看護職員数は、7対1病床を含めて、他の先進国の水準を下回っていること、もう1つは、7対1病床には、看護職員の労働条件を改善して職務満足度を向上させ、離職率を低下させたという「効果」があることです。以下、順に説明します。

まず、厚生労働省が毎年発表している「医療保障制度に関する国際関係資料」の最新版(2012年12月10日)の「医療分野についての国際比較(2010年)」によると、日本の「病床百床当たり臨床看護職員数」は74.3人であり、アメリカの350人、イギリスの324.7人と隔絶しているだけでなく、ドイツの136.7人、フランスの131.5人と比べても5~6割の低さです(いずれも全病床)。日本の病床に慢性期病床が相当数含まれるのに対して、欧米の病床は急性期病床中心であることを考慮しても、日本と欧米との格差は大きいと言えます。ちなみに、日本看護協会幹部も、2006年に7対1病床が新設されたときに、「諸外国に比べてまだまだ低い水準ですので、さらに手厚い体制を求めていきたい」と明言しました(6)

次に、7対1病床導入により、看護職員の労働条件が改善された結果、職務満足度が向上したことは、個別病院の詳細な経年調査で示されています(7-9)。日本看護協会「2008年病院における看護職員需給状況調査」の「入院基本料・労働環境変化」でも、超過勤務時間が「減った」との回答は、7対1でもっとも高く47.2%で、平均の36.4%を10.8%ポイントも上回っていました。同じく1人当たり夜勤回数が「減った」との回答も、7対1でもっとも高く23.9%で、平均の17.7%を6.2%ポイント上回っていました。

看護職員の離職率も7対1病床が急増した2008年以降、低下に転じています。「病院における看護職員需給状況調査」各年版によると、常勤看護職員の年間離職率は、2003年度(「2004年調査」。以下同じ)の11.6%から2007年度の12.6%へと毎年漸増していましたが、2008年には11.9%へと5年ぶりに減少に転じ、その後4年連続低下して、2011年度には10.9%になりました(2012年度は11.0%へと微増)。新卒看護職員についてもほぼ同じ傾向が見られます。

看護職員の離職率の要因は複数あると思いますが、7対1病床による看護職員の労働条件改善・職務満足度向上がそれに大きく寄与したことは確実です。

現在では、看護師は若い女性の憧れの職業になっており、女子高校生の進路希望ではダントツに一番人気になっています(私の勤務する日本福祉大学でも2015年度の看護学部開設を準備中です)。しかし、今からほんの四半世紀前、「看護婦不足」が深刻だった1990年前後には、「看護婦の仕事」は3K(危険、きつい、汚い)どころか、6K(3Kプラス給料が低い、休暇が少ない、かっこうが悪い)と揶揄されていました(10)。しかし、1992年の診療報酬改定での看護料大幅アップから2006年の7対1病床新設に至るまで、診療報酬での看護(職員)の評価が徐々に改善された結果、このような言説はほぼ消失しました。しかし、7対1病床の大幅削減は、せっかくうまれたこの流れを逆転させる危険があると思います。 

おわりに-「地獄のシナリオ」予防のために必要な2つのこと

以上、2014年度診療報酬改定の最大の眼目と言える7対1病床大幅削減方針についての、私の「客観的」将来予測と7対1病床の効果についての私の事実認識を述べてきました。

私が一番危惧していることは、本稿で述べてきた私の予測が外れて、7対1病床大幅削減方針が「成功」した場合、次の2つの不幸な事態が生じ、「2025年モデル」オリジナル版が頓挫することです。1つは、急性期医療への「医療資源の集中投入」が行われないために、高度急性期・一般急性期病床とも平均在院日数の短縮が行われず、しかも病床数も増やされないために、救急患者や高齢患者の入院受け入れが困難となり、「医療(入院)難民」が生じること。もう1つは7対1病床大幅削減と同時に急性期病床の平均在院日数短縮が強行されて、看護職員の過重労働が生じ、彼らの退職が急増して「看護危機」が再燃することです。

このような「地獄のシナリオ」を予防し、「2025年モデル」オリジナル版を実現するためには、マクロレベルで急性期医療への「医療資源の集中投入」政策を確実に実施すること、およびミクロレベルで個々の病院が従来以上に「活力」を発揮して、7対1病床の削減を最小限にとどめる必要があると思います。

謝辞:貴重な情報をいただいた、奥村元子氏(日本看護協会労働政策部)、加納繁照氏(日本医療法人協会会長代行)、小磯明氏(『文化連情報』編集長)、庄子育子氏(『日経ヘルスケア』編集部)、鈴木学氏(愛知県医療法人協会事務部会)、西沢寛俊氏(全日本病院協会会長)、林千冬氏(神戸市看護大学教授)、古川俊弘氏(『メディウェル』発行責任者)、村上正泰氏(山形大学医学部教授)に感謝します(アイウエオ順)。

[本稿の1・2は『日本医事新報』2014年3月29日号(4692号)に掲載した「政府の7対1病床大幅削減方針は成功するか?」に加筆したものです。3は書き下ろしです。]

文献

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2. 新著『安倍政権の医療・社会保障改革』(勁草書房,2014年4月30日)の「はしがき」と「あとがき」。

はしがき

本書の目的は、2009年12月に成立した第二次安倍内閣(以下、安倍内閣)の医療・社会保障政策を、3代の民主党前政権およびその前の福田・麻生自公政権のそれとの異同に留意しながら、複眼的・批判的に検討することです。本書は、安倍内閣の医療・社会保障政策を包括的かつ個別的に、しかも時系列で、実証的に検討した初めての、おそらく唯一の書です。

 全体は5章で構成します。第1章では安倍内閣の医療・社会保障政策を包括的に検討します。第1節は全体の総括・概説で、安倍内閣の医療政策の中心は、伝統的な(公的)医療費抑制政策の徹底であり、部分的に医療の(営利)産業化政策も含んでいることを指摘します。第2~6節は時系列的分析です。第2節は、2012年12月に安倍内閣が発足した直後に行った医療・社会保障政策の予測です。第3節では、安倍内閣の2つの閣議決定(「骨太方針2013」と「日本再興戦略」。共に2013年6月)の医療・社会保障改革方針を検討します。第4節は、2013年7月の参院選での自民党大勝後に行った予測で、医療政策については大きな改革はされないと私が判断した根拠を述べます。第5節では、社会保障制度改革国民会議報告書(2013年8月)を複眼的に評価すると同時に、それの「審議結果等を踏まえ」閣議決定された(はずの)社会保障制度改革プログラム法案骨子の理念を批判します。第6節では、6年ぶりにマイナス改定となった2014年度診療報酬改定の理論的根拠とされた財政制度等審議会「平成26年度予算の編成等に関する建議」を複眼的に検討します。  

第2章では、日本がTPPに参加した場合に、それが日本医療に与える影響を複眼的に検討します。第1節では、医療の「公平」の意味は日米で全く異なるため、TPP参加は国民皆保険制度を空洞化する危険があることを指摘します。第2節では、過去2年半のTPP論争を総括し、3つの成果が得られたことを指摘します。第3節は本章の中核で、私が2011年12月に行った「TPP参加でアメリカは日本医療に何を要求し、何が実現するか?」についての3段階の予測を紹介し、「今そこにある危機」は医療機器・医薬品価格規制の撤廃・緩和とそれによる医薬品費等の不必要な上昇と患者負担の増加、診療報酬の抑制であることを示します。 第4節では、私が、TPP参加による混合診療解禁や「保険外併用療養拡大」よりも、「法定患者負担拡大」を危惧している理由を述べ、今後導入が予想される患者負担とその額を推計します。

第3章では、今や「国策」とも言われるようになった地域包括ケアシステムと今後の死に場所について、複眼的かつ実証的に検討します。第1節では、地域包括ケアシステムそのもの、およびそれと医療・医療機関との関係を正確に理解するための4つのポイントを述べます。第2節では、1990~2011年の21年間の死に場所等の変化を調査し、2025年に「その他」の場所での死亡が47万人に達するとの厚生労働省推計の妥当性を検討します。第3節は、今後の「自宅死亡割合」の変化を予想するための基礎作業として行った、2000~2011年の都道府県・大都市の「自宅死亡割合」の推移の調査報告で、首都圏・関西圏等では「自宅死亡割合」が増加に転じている、東京都区部では「自宅死亡割合」が急増しているが、その4割は「孤独死」の増加による等の意外な事実を明らかにします。第4節では、高齢者の死亡前医療費が高額であるとの言説とは逆に、死亡前1カ月間の医療費は急性期死亡分を含めても、国民医療費の3%にすぎない等の意外な事実を示します。

第4章では、第二次安倍内閣に先立つ民主党野田内閣時代の医療・社会保障政策について検討します。本章で一番重要なのは、第3節の2012年8月に当時野党だった自民党主導で成立した社会保障制度改革推進法の検討で、それが民主党政権がそれまで検討していた「社会保障・税一体改革」とは異質であり、「社会保障の機能強化」が消失し、「自助」が前面に出されていること等を指摘します。これにより、社会保障制度改革推進法が内容面でも、理念面でも、安倍内閣に引き継がれていることを明らかにします。

第5章では、2006~2013年に日本の医療と医療政策についてなされたさまざまな言説の妥当性を検討し、その大半が事実誤認であることを指摘します。例えば第1節では、2006年に提唱された勤務医の「立ち去り型サボタージュ(開業医シフト)」説の妥当性を検証し、全国レベル、都道府県レベルとも、病院勤務医の退職増加と開業志向の高まりは生じていないことを実証的します。

 安倍首相・内閣は2013年夏の参議院議員選挙で大勝し、衆参両院で安定多数を確保して以来、特定秘密保護法案の強行採決、靖国神社公式参拝、集団的自衛権行使は認められないとする歴代内閣の憲法解釈の見直し方針等、政治・外交面で「タカ派」的政策・行動を強めています。医療・社会保障政策についても、費用抑制を強めると共に、「自助を第一に」して国家責任を軽視しており、医療関係者・国民に大きな不安を与えています。私自身も、特にこの1年間は、憂鬱な気持ちで医療・社会保障政策の分析を行ってきました。しかし、本書を読まれれば、医療・社会保障については「抜本改革(改悪)」はなく、あくまで「部分改革」にとどまること、および医療は長期的に見れば「永遠の安定成長産業」であることも、ご理解いただけると思います。

あとがき

本書には、医療政策研究面での前著『TPPと医療の産業化』(勁草書房、2012年5月。以下、前著)出版後、2014年3月までの2年間に発表した主な論文26本を収録しました。このうち13論文は『文化連情報』の連載「二木教授(学長)の医療時評」、10論文は『日本医事新報』の連載「深層を読む・真相を解く」です。全論文とも「歴史の証言」としてそのまま収録し、必要な補足や訂正は、本文中の[ ]または本文末の【補注】・【補足】で行いました。この2年間、同じ問題意識を持って、毎月論文を書き続けてきたため、単なる論文集ではない「まとまり」ができたと自己判断しています。

前著出版後、国政では民主党政権崩壊と自公政権復活という激変がありましたが、私個人にも、日本福祉大学学長就任という予期せぬ出来事が生じました。

実は、2年前に前著の「あとがき」を書いた時点では、私は2013年3月に日本福祉大学を定年退職し、同年4月から同大学の特別任用教授になることが決まっており、「これにより(中略)管理業務からようやく『解放』され、大学院を中心とした教育と研究に専念できるようになると、今からその日が来るのを心待ちにしていま」した。ところが、その後、やむを得ない事情により、日本福祉大学学長選挙に立候補することになり、幸い当選して、2013年4月より同大学学長に就任しました。「一寸先は闇」(川島正次郎自民党副総理・故人)なのは、政界だけではないと思い知らされました。

学長選挙の「所信表明書」では、大学改革の諸課題に加え、「学長業務と研究のバランスに留意しつつ、医療・介護政策の研究と発信を続け」ることも公約しました。学長就任後は、これを実行するべく、『文化連情報』と『日本医事新報』の上記連載を継続すると共に、「二木立の医療経済・政策学関連ニューズレター」(http://www.inhcc.org/jp/research/news/niki/)も毎月配信しています。

学長の業務量・拘束時間とストレスは、それ以前に4年間努めた副学長とは比較にならず、毎月、論文を書き、「ニューズレター」を配信するのに「青息吐息」の状態です。しかし、研究・論文執筆を行うことは、学長業務のストレス解消の最良の方法であることにも気づき、少なくとも学長任期中(2017年3月まで)は、上記2連載と「ニューズレター」を継続しようと、前向きに(?)考えています。

なお、私は学長就任後、学長として挨拶・スピーチをする際は、持ち時間を厳守するため、および失言をしないために、できるだけ事前に原稿を作成するようにしています。会場で急に挨拶や発言を求められた場合も、その場で手書きのメモを作成し、挨拶や発言をした後、大学または自宅ですぐに原稿化するようにしています。それらは日本福祉大学のホームページ(http://www.n-fukushi.ac.jp/ 「学園・大学案内」→「大学概要」→「学長メッセージ」)に掲載していますので、興味のある方はご覧下さい。

出版事情が悪いなか丁寧な作業をしていただいた勁草書房編集部の橋本晶子さん、本書の元論文発表の場を継続的に提供いただいた『文化連情報』編集長の小磯明さんと『日本医事新報』編集部の山崎隆志さんに感謝します。

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3.最近発表された興味ある医療経済・政策学関連の英語論文

(通算100回.2014年分その2:5論文)

「論文名の邦訳」(筆頭著者名:論文名.雑誌名 巻(号):開始ページ-終了ページ,発行年)[論文の性格]論文のサワリ(要旨の抄訳±α)の順。論文名の邦訳中の[ ]は私の補足。

○医療における新自由主義的改革の限界:ニュージーランドの医薬品管理の事例
Dew K, et al: Limits to neoliberal reforms in the health sector: The case of pharmaceutical management in New Zealand. International Journal of Health Services 44(1):137-153,2014.[政策研究]

ニュージーランドでは、1993年、医療部門の新自由主義的改革の絶頂期に医薬品管理庁が創設された。医薬品管理庁と医薬品企業、患者ロビー団体、医療専門職との関係は時々敵対的になったが、それにもかかわらず同庁は政治的介入から実質的に独立し続けている。本論文は批判理論とデュルケム理論に基づいて、医療分野の新自由主義的改革が試みられていた時代に、このように強力な規制組織がいかにして創立されたかを説明する。歴史的分析と現状分析により、医薬品に対する規制と財政補助に関する政府の姿勢には矛盾が存在しており、それは国民の支持の維持、政府支出の抑制、および医薬品を国民に提供することへの期待への対応という対立した要求があるためである。本論文は、医薬品管理庁の創設がこれらの矛盾した要求をいかに調整したかを示す。合わせて、同庁が医薬品給付の意思決定を政治から独立して行い、客観的評価基準を用いていることを示すことでその地位を保ててきたと主張する。この事例は新自由主義的改革の限界を示している。

二木コメント-私はニュージーランドの医薬品管理庁が医薬品費抑制を強力に推し進めていることは知っていましたが、同庁が新自由主義的改革が絶頂期だった1990年代に、その改革理念とは一部矛盾する形で創設されたことは知りませんでした。私流に言えば、これは「新自由主義的医療改革の本質的ジレンマ」の貴重な事例研究と思います(「医療の市場化・営利化は、企業にとっては新しい市場の拡大を意味する反面、医療費増加(総医療費と公的医療費の両方)をもたらすため、(公的)医療費職制という『国是』と矛盾する」初出は、『医療改革と病院』勁草書房,2004,21頁)。なお、本「ニューズレター」13号(2005年9月)」で紹介した次の論文は、ニュージーランドにおける1980年代以降の医療改革の流れを複眼的に検討し、やはり「新自由主義的医療改革の限界」を明らかにしています:「改革を通しての継続-ニュージーランドにおける保健医療改革のレトリックと現実」(Ashton T, et al: Continuity through change: The rhetoric and reality of health reform in New Zealand. Social Science & Medicine 61(2):253-262,2005)。

○「貿易クリープ」と環大西洋貿易投資パートナーシップ協定のイギリスNHSへの含意
Koivusalo M, et al: "Trade creep" and implications of the Transatlantic Trade and Investment Partnership Agreement for the United Kingdom National Health Services. International Journal of Health Services 44(1):93-111,2014.[政策研究]

野心的で包括的な、ヨーロッパ連合・アメリカ間の環大西洋貿易投資パートナーシップ協定(TTIP/TAFTA)の交渉が始まっており、それは医療サービスにも大きな影響を与える可能性がある。協定は政府調達、投資、さらには規制の協調も含んでいる。本論文では、イギリスNHS(国民保健サービス)に焦点を当て、この交渉が政策変更や、医療サービス・医薬品・医療機器および医療産業の規制政策の自由度をいかに制約しうるかを検討する。環大西洋貿易投資パートナーシップ協定の交渉は、潜在的には規制を企業に好都合な形で「調和」させる可能性があるため、費用が増加し、政策自由度の喪失をもたらすかもしれない。これは、大西洋の両岸での、医療の平等、公衆衛生、および安全配慮を危うくする「貿易クリープ」(貿易協定とそれに伴う法的義務が、貿易以外の分野の政策や規制に徐々に悪影響を与えること)の例と言える。

二木コメント-環大西洋貿易投資パートナーシップ協定が医療に与えうる影響を包括的かつ批判的に検討しており、TPPが医療に与える影響を考える上でも、参考になります。「貿易クリープ」は著者の造語で、上記説明は著者に問い合わせて教えてもらいました。

○[アメリカの]2012年国民保健費用:医療費の伸び率は4年連続低水準
Martin AB, et al: National health spending in 2012: Rate of health spending growth remained low for the fourth consecutive year. Health Affairs 33(1):67-77,2014.[解説]

2012年の保健医療費の対前年伸び率は3.7%にとどまり、4年連続の低水準となった(2009年と2010年は3.8%、2011年は3.6%)。これは、2012年の名目GDPの対前年伸び率4.6%を下回り、保健医療費の対GDP比は前年の17.3%から17.2%へと微減した。

サービス種類別に見ると、病院と医師サービスの伸び率の高さ(それぞれ4.9%、4.6%)が、処方薬とナーシングホームの伸び率の低さ(同0.4%、1.6%)で相殺されていた。保険者別に見ると、メディケアは加入者が急増したにもかかわらず、診療報酬が抑制されたため、給付の伸び率は低下した(5.0%から4.8%へ)。メディケイドは受給者の増加率が低下したため、給付伸び率は歴史的低水準を続けている(3.3%)。民間保険給付の伸び率も歴史的低水準を続けており(3.2%)、この主因はアメリカ経済の回復の遅れが雇用に影響したためである。このような4年連続の保健医療費の伸び率低下が、医療部門で構造的変化が起こっているためなのか、また低水準の伸び率が今後も持続するかについては、現時点では判断できない。

二木コメント-アメリカの名目GDPの伸び率は日本よりかなり高いにもかかわらず、医療費の伸び率が2009年以降は日本と同水準にまで低下したこと、および日本と逆にアメリカでは処方薬の伸び率が2010年以降大幅に低下していること(2010年0.4%→2011年2.5%→2012年0.4%)は注目に値すると思います。著者はこの傾向が持続するか否かについて判断を保留していますが、オランダのCarrera PMはこの論文に対して、以下のようにコメントしています(Letters. Health Affairs 33(3):519-520,2014):①医療費伸び率の鈍化はアメリカでもっとも顕著であるが、他の先進国にも共通しており、2011年にはOECD加盟国の平均医療費伸び率は0%となった。②この傾向は各国の価格・賃金の抑制だけでなく、医療の構造的変化(医療提供組織の統合と医療技術進歩の鈍化)を反映しているため当分続く。

○[アメリカの]病院はメディケア価格の持続的低成長にどう対処しているか?
White C, et al: How do hospitals cope with slow growth in Medicare prices? Health Services Research 49(1):11-31,2014.[量的研究]

1996~2006年の「メディケア入院医療費報告」を用いて、メディケアの入院患者医療価格(以下、メディケア価格)の変化が、アメリカの全急性期病院の総収入(メディケア分以外も含む。2009年価格。以下同じ)、総費用(operating expenses)、利益、資産および職員配置に与える影響を推計した。個別の病院ごとに、メディケアの支払い基準の変更に伴う各年のメディケア価格変化を計算した。二段階最小二乗法パネルデータ回帰分析により、メディケア収入の変化の影響を、全病院、非営利病院対営利病院、実質メディケア価格が上昇した病院(勝ち組)対低下した病院(負け組)で、推計した。全病院では、メディケア価格引き下げにより総収入は減少していたが、総収入の減少率はメディケア価格の削減率を上回っており、これはメディケア価格引き下げに波及効果があることを示している。非営利病院では、総収入の減少は費用の削減で完全に相殺されており、利益は変わらなかった。営利病院では総収入の利益の減少をもたらしていた。勝ち組と負け組の反応は大体対称的であった。結論として、病院は平均的にはメディケア価格の引き下げを「コスト・シフティング」ではなく、費用の削減によって、埋め合わせていた。オバマ政権の医療保険改革法で予定されている、メディケア価格の歴史的趨勢以下への抑制は、病院の総収入と費用の伸び率をさらに低下させるであろう。

二木コメント-かつてアメリカの病院は、保険者による医療価格の(実質)引き下げを「コストシフティング」で埋め合わせていると言われていましたが、現在ではそれが不可能になっていることがわかります。医療価格引き下げに対する非営利営利病院と非営利病院との対応は通説と逆に思えますが、その理由は分かりません。

○[アメリカにおける]病院依存の患者
Reuben DB, et al: The hospital-dependent patient. The New England Journal of Medicine 370(8):694-697,2014.[評論]

アメリカではメディケア入院患者の約20%が前回退院後30日以内の再入院だと言われている。一般には再入院率の高さは医療制度・提供の欠陥とみなされているが、再入院にはもっと厄介な理由がある。それは病院依存の患者である。病院依存の患者は、人工呼吸器や生命維持装置を必要とする慢性重篤患者とは異なり、入院後短期間で病状が安定し、病院で濃厚な診療を受けることに満足しているが、それが受けられない在宅では病状が悪化してしまう。このような患者は高齢で、複数の慢性疾患を有し、急性のストレスや事故に対する生理的予備力がほんのわずかしかない。病院依存の患者をナーシングホームに退院させても問題は解決せず、ナーシングホームに転院した患者の再入院率は自宅退院した患者のそれと変わらない。彼らは病院に再入院することで安心感を得ている。ほとんどの臨床医は病院依存の患者の存在を認識しているが、それについての系統的研究はなされておらず、病院依存の患者が再入院患者に占める割合も分かっていない。救命技術の進歩がこのような患者を生み出している面もあり、今後は、急性期病院での医療に代わる長期急性期医療(long-term acute care)が必要になるであろう。

二木コメント-アメリカでも「病院依存の患者」が増加し、それが「長期急性期医療」の普及を後押ししていることがよく分かります。ただし、ここで述べられている「病院依存の患者」は、日本的感覚からすれば相当重症な患者です。


4.私の好きな名言・警句の紹介(その113)-最近知った名言・警句

<研究と研究者のあり方>

<組織のマネジメントとリーダーシップのあり方>

<その他>

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